プロジェクトストーリー

「失敗してもいいからやってみよう」

機械要素部品メーカーがメカトロニクス商品をうみだした話。

NBKの460年におよぶ歴史は、伝統技術をベースに新たな技術による挑戦を重ねてきた歴史でもあります。今回紹介するハンドル自動化ユニットは、まさにそうした歴史を体現したプロジェクト。中心メンバーのNさんとYさんから話を聞きました。

このプロジェクトの商品

ハンドル自動化ユニット(EPU)

工場自動化に貢献するNBKのメカトロニクス商品。これまで、人の手で行われていたハンドル操作による装置の位置決め作業を、遠隔での一括制御により、安全、正確、そして手軽に自動化します。

member

未来推進本部
未来商品開発部
メカトロチーム

T.N.

未来推進本部
未来商品開発部
メカトロチーム

H.Y.

story 01

「電気の要素を取り入れて、メカトロニクス商品をつくれば差別化できるのではないか」そんな声から始まりました。

H.Y.

2014年、主力である機械要素部品はコモディティ化が進み、価格競争が進んでいました。当時のプロダクトマネージャーからは商品の差別化が必要だという話もあがり、その一手としてNBKにとって新領域であるメカトロニクス商品の開発に動き出しました。まずは外部講師を呼んで、電気の勉強会をスタートさせました。最初ははんだ付けをして光を点灯させるみたいなこともやりましたね。NBKは新しいことが大好きで、「まずはやってみよう」と始まった感じもあります。
その後、実際にどの商品に電気的要素を加えていくか検討が進められ、ポジションインジゲータと呼ばれる、送りねじなどの軸の回転を表示できる機械要素部品が候補となりました。その時、担当者として手を挙げたのが私です。おもしろそうだったので立候補しました。最初はたった一人のスタートで、電気の知識もないし、わからないことも多く大変でしたね。外部講師にも月に2回くらいは来てもらって継続的に学んでいましたが、何がわからないかがわからない、という状態でした。

T.N.

私がプロジェクトに参加したのは、2016年頃から。Yさんが進めていたプロジェクトは、何度も試作を重ね、また顧客からのフィードバックもあり、どんな機能にしていくかがほぼ固まっていました。ただ量産化で躓いていました。私はその頃、エネルギーを動作に変換する装置(アクチュエーター)を手掛けていましたが、もともと電機メーカーでエンジニアとして設計の経験もあったので、是非プロジェクトにメインで携わってみたいと考えていました。

story 02

「Nさんの正式加入で、プロジェクトは劇的に加速しました」
機械✕電気電子の最適解。

T.N.

電気に強いということで正式にプロジェクト参加が決まり、私が参加してからは、手づくりの試作モデルを元に、どう量産化するかを試行錯誤していました。基盤の調達先を開拓したり、制御のプログラミング、動かし方など、試作モデルをどんどん洗練させていきました。そしてついに2018年、EPU-100と名付けられた黒いボディの量産1号機が完成しました。

H.Y.

Nさんの参加で、プロジェクトは劇的に進みましたね。量産化はNさん、機械配置などは私、といった形で役割を分担できたことが大きかったと思います。販売状況はというと、開発初期から意見を頂戴していた包装機械メーカーさまよりも、木材加工業者さまを中心に売れ始めました。ハンドル自動化ユニットなので、生産設備の中で、大型の機械を使用し調節するハンドル数が多いメーカーさまから評価をいただいた形です。

T.N.

販売実績以上に大きかったのは、NBKはこんな商品もつくれるのか、という認知がメーカー各社に広がったことです。“ここをこうして欲しい”、“ここがこうであれば使いたい”といったアイデアが数多く寄せられるようになりました。商品の完成度を上げていく重要なヒントになりましたね。

H.Y.

2020年、改良が重ねられた量産2号機のEPU-200は青いボディに変わります。ユーザーインターフェースを考え、デザインを変更しました。営業やマーケティングの協力もあって、1号機の100倍売れるようになりましたね。

story 03

挑戦を続けるNBKの商品開発
受け継がれたのは、ものづくりのスピリット。

H.Y.

EPU-200はNBKの主力商品に近づいてきましたね。
でも、まだまだ伸び代がたっぷりあって、回転系の製造工程の自動化に向けて汎用的なコア技術になる可能性を秘めています。飛躍的な売上拡大が見込める海外マーケットへの展開もこれからです。
この開発を通じて、新しいことをやることは単純に楽しいなと感じています。今回のようなメカトロニクス商品は、これまでにも海外からの輸入や、既存商品のアレンジは今までもありました。でも実際自分たちで挑戦すると身につくことが大きいし、自分の成長につながりました。

T.N.

新しい商品の立ち上げは会社としても良かったですし、エンジニア個人としても良かったと思います。会社としては、大きな投資だったと思います。「失敗してもいいからやってみよう」と言ってくれるのはすごいですよ。そういう歴史の会社だと感じました。
また、私はもともと大手メーカーで設計をしていましたが、設計開発全体を手掛ける経験はありませんでした。大手メーカーの多くは業務が細分化されていることが多いですからね。外部試験など、新しい経験ができたこともエンジニアとしてのレベルアップにつながったと思います。

H.Y.

振り返ってみると、当時は四六時中どうやったら問題を解決できるか考え続けていましたが、不思議と苦しかった記憶はないです。
NBKは残業が少ない会社ですが、定時であがらなかった日も多かったと思います。やらされた仕事ではなく、やりたい仕事だから、夢中になっていたと思います。

T.N.

Yさんはマラソンが趣味でね、私も感化されて走るようになったのですが、走っている時って、自分の頭の中を整理できるんですよね。煮詰まっている時こそ、体を動かすということを学びました。

H.Y.

そう、スッキリしますよね。私はお風呂に入って髪を洗っている時などふと開発のヒントが降りてくることがあります。リラックスして考え続けることが、新しい商品開発には大事なのかもしれませんね。