選定方法

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設計手順と選定例

適正なシーブを選定するために、下記の設計手順に従って計算してください

移動式クレーン、デリック、エレベータ、簡易リフトなどに使用するシーブについては、各々異なる法規制などによる制限があり、本設計資料の適用外になることにご留意ください。

設計手順

選定例

機械装置:一般工場用クレーン

負荷条件:JIS B 8822-1の等級分類M5
(クレーン構造規格等級分類C)
最大ロープ張力:18kN
負荷状態:L2-中、シーブの軸受荷重22kN
シーブの回転数:20min-1

ロープ選定係数C値の計算

ロープの性能・特徴を理解し、用途に適したロープを選択し、公式一覧のNo.1からロープ選定係数を求めてください。

C :ロープ選定係数

K’:最小破断荷重係数 表2

R0:公称引張強さ(N/mm2)表2

Zp:安全率 表3


ロープ選定係数C値の計算例

使用するロープとして、構成記号および種別は、6×Fi(29) B種のフィラー形29本線6よりを選択します。

表2より、
最小破断荷重係数K’=0.335、
素線の公称引張強さR0=1,770N/mm2

表3より、
安全率Zp=4.5
したがって、下記の計算結果となります。

最小ロープ径の計算およびロープ公称径の選定

公式一覧のNo.2から最小ロープ径を求めてください。
なお、選定するロープ公称径は、dminからdmin×1.25の範囲内にしてください。

dmin:最小ロープ径(mm)

C :ロープ選定係数

S :次の要因を考慮に入れたロープの最大張力(N)


装置の定格荷重

フックブロックまたはその他の付属品、もしくはその両方

ローピングの機械的特性

シーブ効率

フックの最高点でのロープの傾きによって生じるロープ張力増加
(ドラム軸に対するロープの傾きが22.5度を超えた場合)

衝撃荷重

最小ロープ径の計算およびロープ公称径の選定例
最大ロープ張力Sは18kNであるから、

また、

したがって、表15から、11.7mm - 14.6mmの範囲内にある公称径12.5mmのロープを選定します。

最小破断荷重からのロープ公称径の選定(別法)

公式一覧のNo.3から使用するロープの最小破断荷重を求めてください。

S :最大ロープ張力(N)

Zp:安全率表3


表13 - 表16から、破断荷重がFmin 以上のロープ公称径を選定してください。

最小破断荷重からのロープ公称径の選定例

最大ロープ張力Sは18kN、
また、表3より、安全率Zp=4.5
したがって、

したがって、表15から、破断荷重が81kN以上である公称径 12.5mm(破断荷重92.5kN、最小破断荷重の1.14倍)のロープを選定します。

最小ピッチ円直径の計算とシーブ径の選定

シーブの選定係数D/dを表6より選び、公式一覧のNo.4から最小ピッチ円直径を求めてください。
D/dが大きいほどロープの寿命は長くなります。

Dp :最小ピッチ円直径(mm)

D/d:シーブの選定係数

d0 :ロープ公称径(mm)


また、公式一覧のNo.5 および No.6 から、最小ピッチ円直径を求めることもできます。ただし、前項で求めたDp以上のピッチ円直径としてください。

Dp2 :シーブの最小ピッチ円直径(mm)

Dp3 :エコライザシーブの最小ピッチ円直径(mm)

h2 :シーブの選定係数表6

h3 :エコライザシーブの選定係数表6

t :ロープタイプ係数表5

dmin:ロープの計算最小径(mm)


つぎに、シーブの寸法表から、求めたロープ公称径および最小ピッチ円直径を満足するシーブを選定してください。

最小ピッチ円直径の計算とシーブ径の選定例

表4より1グループであり、等級分類はM5であるから、表6より、シーブの選定係数D/d=20
したがって、

となります。

寸法表から、ロープ公称径12.5mm、最小ピッチ円直径250mmを満足する標準ロープシーブとして、品番 RS20-12.5-250-1-B を選定します。

適用ベアリングの寿命の確認

公式一覧のNo.7からベアリングの基本定格寿命を求めてください。 表9に示す使用時間を満足することを確認してください。

Lh :ベアリングの基本定格寿命(hrs)

n :シーブの回転数(min-1)

Cr:基本定格荷重(kN)

P :等価軸受荷重(kN)


使用時間を満足できない場合は、シーブや適用ベアリングサイズを大きくしたり、機械装置の負荷条件を見直したりしてください。

適用ベアリングの寿命の確認例

寸法表より品番RS20-12.5-250-1-Bの標準ベアリングは6211ZZを2個であり、表8より基本定格荷重は43.5kN。また、シーブの軸受荷重は22kNであり、回転数は20min-1
したがって、

表9より、負荷状態L2- 中で等級分類M5 の使用時間は6,300hrs未満なので、適用ベアリングの寿命は使用時間を満足します。

表1 素線の公称引張強さ(JIS B 3525:2006)

種別 公称引張強さ
(N/mm2)
摘要
E種 1,320 裸及びめっき
G種 1,470 めっき
A種 1,620 裸及びめっき
B種 1,770 裸及びめっき

表2 主なワイヤロープの最小破断荷重係数(JIS G 3525:2006解説)

構成記号 種別 公称引張強さ
R0(N/mm2)
最小破断荷重係数
K’
6×37 A 1,620 0.328
6×W(19) B 1,770 0.328
6×Fi(29) B 1,770 0.335
IWRC 6×Fi(29) B 1,770 0.383

表3 ワイヤロープの安全率Zp(JIS B 8835-1:2006)

使用する機種及び部位 JIS B 8822-1
等級分類
クレーン構造規格の
等級分類
安全率
Zp
クレーンの巻上げ用ロープ(運転室及び運転台の巻上げ用を除く。)
クレーンのジブの起伏用ロープ及び横行用ロープ
ケーブルクレーンの走行用ロープ
M1 A 3.55
M2 A 3.55
M3 A 3.55
M4 B 4.0
M5 C 4.5
M6 D 5.0
M7 E 5.0
M8 F 5.0
ケーブルクレーンのメインロープ及びレールロープ M1 - M8 A - F 2.7
クレーンの運転室及び運転台の巻上げ用ロープ M1 - M8 A - F 9.0
デリックの巻上げ用ロープ(運転室及び運転台の巻上げ用を除く。)及び起伏用ロープ - - 6.0
デリックの旋回用ロープ、ブームの支持用ロープ及びガイロープ - - 4.0

表4 ロープの区分(JIS B 8835-1:2006)

グループ区分 定義
1グループ ステンレス製以外のロープで、次のもの
a) 6ストランド又は8ストランドの平行よりロープ
b) 6×37
2グループ ステンレス製以外のロープで、次のもの
a) 3ストランドロープ及び4ストランドロープ
b) 多層ストランド ロープ
c) 6×37を除く6ストランド又は8ストランドの交差よりロープ
ステンレス製のロープで、次のもの
a) 6ストランド又は8ストランドの平行よりロープ
b) 6×37
3グループ 1グループ及び2グループ以外のロープ

表5 各種ロープに対するロープタイプ係数t(JIS B 8835-1:2006)

ロープの外層ストランド数 ロープタイプ係数t
3 - 5 1.25
6 - 10 1.00
8 - 10 プラスチック充てんロープ 0.95
10以上 非自転性ロープ 1.00

表6 シーブの選定係数D/d、h2、h4( JIS B 8835-1:2006)

ロープの
グループ
JIS B 8822-1
等級分類
クレーン構造規格 JIS B 8835-1
等級分類 選定係数 選定係数
シーブ
D/d
エコライザシーブ
D/d
シーブ
h2
エコライザシーブ
h3
1 M1 A 16 10 12.5 11.2
2 20
3 25
1 M2 A 16 10 14 12.5
2 20
3 25
1 M3 A 16 10 16 12.5
2 20
3 25
1 M4 B 18 10 18 14
2 22.4
3 28
1 M5 C 20 10 20 14
2 25
3 31.5
1 M6 D 25 10 22.4 16
2 31.5
3 40
1 M7 E 31.5 12.5 25 16
2 40
3 50
1 M8 F 40 14 28 18
2 50
3 63

表7 その他法規制のD/d

ロープの
グループ
つりあげ装置等の用途 選定係数
シーブ
D/d
エコライザシーブ
D/d
1 巻上げ用及びジブの起伏用 16 -
2 20
3 25
1 ジブの伸縮用 16 -
2 20
3 25
1 すべての用途 - 10
2 12.5
3 16

法規・規則等 選定係数
シーブ
D/d
エコライザシーブ
D/d
デリック構造規格 20 10
エレベーター構造規格 40 -
簡易リフト構造規格 20 -
建設用リフト構造規格 - 10
ゴンドラ構造規格 20 -

表8 軸受の基本定格荷重

呼び番号 基本定格荷重
(kN)
6206ZZ 19.5
6207ZZ 25.7
6208ZZ 29.1
6209ZZ 31.5
6210ZZ 35
6211ZZ 43.5
6212ZZ 52.5
6213ZZ 57.5
6214ZZ 62
6306ZZ 26.7
6313ZZ 92.5
6314ZZ 104
6316ZZ 123
6317ZZ 133
6318ZZ 143

表9 機械装置の等級分類(JIS B 8822-1:2001、クレーン構造規格 別表第3)

JIS B 8822-1 クレーン
構造規格
使用時間(h)
負荷状態 定格荷重に
対する割合
200
未満
400
未満
800
未満
1,600
未満
3,200
未満
6,300
未満
12,500
未満
25,000
未満
50,000
未満
100,000
未満
L1-軽 50%未満 - - M1
A
M2
A
M3
A
M4
B
M5
C
M6
D
M7
E
M8
-
L2-中 50%以上
63%未満
- M1
-
M2
A
M3
A
M4
B
M5
C
M6
D
M7
E
M8
F
-
L3-重 63%以上
80%未満
M1
-
M2
-
M3
A
M4
B
M5
C
M6
D
M7
E
M8
F
- -
L4-超重 80%以上 M2
-
M3
-
M4
B
M5
C
M6
D
M7
E
M8
F
-
F
- -

● 上段:JIS B 8822-1規定事項、下段:クレーン構造規格規定事項

表10 つり上げ装置等の等級の各種クレーンへの適用例(クレーン構造規格)

適用されるクレーン つり上げ装置等の等級
巻上 引込・起伏 横行
発電所用クレーン、分解点検用クレーン A A -
機械および組立工場用クレーン A - -
一般工場用クレーン B - D - -
天井クレーン(バケット付、マグネット付) D - F - -
レードルクレーン E - F - -
ストリッパクレーン、ソーキングクレーン F - -
装入クレーン F - -
鍛造クレーン F - -
一般用橋形クレーン(フック付) B - C - B - C
アンローダ用橋形クレーン(フック付)、コンテナ用橋形クレーン(フック付) D - E A - B D - E
アンローダ用橋形クレーン(バケット付、マグネット付) F A - B E - F
艤装クレーン、造船所用ジブクレーン C - D B - C -
埠頭用ジブクレーン(フック付) D - E C - D -
埠頭用ジブクレーン(バケット付、マグネット付) E - F D - E -
大荷重ジブクレーン A - B A - B -
建築用クレーン B B -
浮きクレーン(フック付) D - E C - D -
浮きクレーン(バケット付、マグネット付) E - F D - E -
大荷重浮きクレーン A - B A - B -
鉄道クレーン A - B A -

表11 ラジアル軸受のはめあい(参考)

条件 ハウジング穴の
公差域クラス
軸の
公差域クラス
備考
一体形
ハウジング
外輪回転荷重 普通荷重
重荷重
N7 h6
* 精密を要する場合には h5を用いる。
・外輪はアキシアル方向に移動できない。
・ 内輪は軸上を容易に動く必要がない。
軽荷重
変動荷重
M7

表12 主なワイヤロープの呼び、構成記号及び断面 (JIS G 3525:2006)

呼び 37本線6より ウォーリントン形
19本線6より
フィラー形
29本線6より
フィラー形
29本線6より
ロープ心入り
構成記号 6×37 6×W(19) 6×Fi(29) IWRC 6×Fi(29)
断面

表13 6×37の破断荷重(JIS G 3525:2006)

公称径
(mm)
破断荷重
(kN)
(参考)
概算単位質量
(kg/m)
G種 A種
6 17.8 19.1 0.129
8 31.6 34.0 0.230
9 40.0 43.0 0.291
10 49.4 53.1 0.359
12 71.1 76.5 0.517
14 96.7 104 0.704
16 126 136 0.920
18 160 172 1.16
20 197 212 1.44
22 239 257 1.74
24 284 306 2.07

表14 6×W(19)の破断荷重(JIS G 3525:2006)

公称径
(mm)
破断荷重
(kN)
(参考)
概算単位質量
(kg/m)
E種 A種 B種
6 16.1 19.6 20.9 0.139
6.3 17.7 21.6 23.0 0.153
8 28.6 34.9 37.2 0.247
9 36.2 44.1 47.0 0.312
10 44.7 54.5 58.1 0.386
11.2 56.1 68.3 72.8 0.484
12 64.4 78.5 83.7 0.556
12.5 69.9 85.1 90.7 0.603
14 87.7 107 114 0.756
16 115 139 149 0.988
18 145 176 188 1.25
20 179 218 232 1.54
22.4 224 273 291 1.94
25 280 340 363 2.41

表15 6×Fi(29)の破断荷重(JIS G 3525:2006)

公称径
(mm)
破断荷重
(kN)
(参考)
概算単位質量
(kg/m)
B種
8 37.9 0.253
9 48.0 0.321
10 59.2 0.396
11.2 74.3 0.496
12.5 92.5 0.618
14 116 0.776
16 152 1.01
18 192 1.28
20 237 1.58
22.4 297 1.99
25 370 2.47
表16 IWRC 6×Fi(29)の破断荷重 (JIS G 3525:2006)
公称径
(mm)
破断荷重
(kN)
(参考)
概算単位質量
(kg/m)
B種
10 67.7 0.440
11.2 84.9 0.552
12.5 106 0.688
14 133 0.863
16 173 1.13
18 219 1.43
20 271 1.76
22.4 340 2.21
25 423 2.75

公式一覧

No. 項目 公式 記号の説明
1 ロープ選定係数
C
K' :最小破断荷重係数 表2
R0 :公称引張強さ(N/mm2表2
Zp:安全率 表3
2 最小ロープ径
dmin(mm)
C:ロープ選定係数
S :最大ロープ張力(N)
3 ロープの
最小破断荷重
Fmin(N)
S :最大ロープ張力(N)
Zp:安全率 表3
4 シーブの
最小ピッチ円直径
Dp(mm)
D/d:シーブの選定係数 表6
d0 :ロープ公称径(mm)
5 シーブの
最小ピッチ円直径
Dp2(mm)
h2 :シーブの選定係数 表6
t :ロープタイプ係数 表5
dmin:ロープの計算最小径(mm)
6 エコライザシーブの
最小ピッチ円直径
Dp3(mm)
h3 :シーブの選定係数 表6
t :ロープタイプ係数 表5
dmin:最小ロープ径(mm)
7 ラジアル玉軸受の
基本定格寿命
Lh(hrs)

n :シーブの回転数(min-1)
Cr:基本定格荷重(N)
P :等価軸受荷重(N)
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