公開日:2023年02月08日 更新日:2024年02月27日
人手不足に対する製造業の取り組み【実践編】
製造業の人手不足問題
現在、国内の人手不足は深刻化を極めており、製造業はその影響を大きく受けている業種の一つです。
製造業就業者数は、2002年1,202万人から、2022年1,044万人へと、約20年間で158万人もの減少を記録しています。
製造業の94%以上の大企業・中小企業において人手不足が顕在化しており、経済産業省の調査からも、35%の企業が「ビジネスにも影響が出ている」と考えていることが明らかになりました。
また、特に確保に課題がある人材として「技能人材」が挙げられ、中小企業ほどこの傾向は顕著です。*1、2、3、4
技能人材とは中小企業庁の定義によると、「研究業務、製品開発・技術開発業務、品質・生産管理業務、製造・加工業務の4業務に従事する従業員」とされ、製造業のほぼ全てといえる幅広い分野において、必要な人材が不足している状況に陥っています。*5
この傾向が短期間で解消することは考えにくく、人材確保はもちろん、限られた人材を有効に活用する、生産効率の向上も急務と言えます。ここでは特に、労働力不足を技術力でカバーする対策や解決事例をご紹介します。
*1:総務省統計局「労働力調査結果」(2023年3月14日)
*2:経済産業省 厚生労働省 文部科学省「2022年版 ものづくり白書(全体版)」(2023年3月14日)
*3:経済産業省 厚生労働省 文部科学省「2019年版 ものづくり白書 概要」(2023年3月14日)
*4:経済産業省 厚生労働省 文部科学省「2018年版 ものづくり白書」(2023年3月14日)
*5:出典:中小企業庁「2012年版 中小企業白書」(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H24/H24/html/k312000.html)(2023年3月14日)
今からできる対策【01】
ロボットの導入
人員不足を解決する最も有効な手立ては、人の手で行う作業をロボットで自動化し、必要人員を削減することです。ロボットの導入による効果はそれだけではなく、人為ミスの削減や繰り返し作業のスピード・効率アップなどさまざまな恩恵があります。
自動車製造業界、電気電子業界ではすでに導入が進んでいるロボットですが、この先他業界でも国内外ともに導入・活用が進むとされています。
産業用ロボットと協働ロボット
製造現場に導入されるロボットは、「産業用ロボット」と「協働ロボット」に分けられます。産業用ロボットは安全柵の設置が必要なため、比較的大型のラインや設備に設置されることが多いロボットです。一方協働ロボットは、安全柵の設置が不要なため、設置場所を選びません。
近年では、ロボットをAGVや移動式台車の上などに設置し、ロボット自体を移動させて活用するケースも増えています。
アプリケーションによって適切なロボットの選定が必要です。
ロボットの効果を最大限発揮するために
ロボットの導入効果を最大限発揮するために鍵となるのが「ロボットハンド(グリッパ)」です。ロボットハンドの選定ポイントには「駆動源」「爪の本数」「爪の開き方」「把持力」などさまざまなものがあり、その仕様の違いがロボットの導入効果に直結します。
NBKは産業ロボット・協働ロボットそれぞれに対応可能なロボットハンドを多数取り扱っています。
今からできる対策【02】
デジタル技術を導入して効率化を推進する
2020年から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症は製造業にも大きな打撃を与え、多くの企業が生産量の調整など、経営の転換を余儀なくされました。
リモートワークの導入など、各社様々な働き方を模索していますが、中でも重要性が注目されているのが、デジタルを用いた業務効率化です。
生産活動とは切っても切れない、温度や電流値など様々なデータ計測、異常値を検出した場合の対処など、従来人の手で行うこれらの作業を自動化できれば、非常に大きな効率化を実現できます。
しかし、導入のためのノウハウ不足、先導的役割を果たせる人材の不足などが大きなハードルとなり、なかなかデジタル技術導入に踏み切れない企業が多いのが現状です。
おすすめシステムのご紹介
IoTシステムezeio(イージー・アイ・オー)IoTシステムは各種装置・機器の導入など大きな労力とコストが要求されると思われがちです。
複雑なシステム構築なしで使用可能な、簡単に導入できるIoTシステムであれば、特殊なノウハウや専門知識を持った人材も必要なく、監視・制御作業の自動化が可能となります。
ezeio(イージー・アイ・オー)は、さまざまな設備の遠隔監視と遠隔制御を可能にするIoTシステムです。
取得したデータに基づいてアラートメールを送信したり、「ON/OFF」などの自動制御も可能で、大幅な工数削減に貢献します。
ハンドル自動化ユニット
生産ライン・設備のハンドルを用いた段取り作業を自動化できる装置があります。
複数箇所の段取り作業を同時に完了できるほか、人為ミスの防止、危険箇所での作業の回避など、位置決め作業の効率改善・合理化に極めて大きな貢献を果たします。
今からできる対策【03】
自動化が難しい工程の作業効率を上げる
生産現場では、デジタルに置き換え不可能な工程や、自動化が難しい工程が数多く存在します。
これらの人の手による作業の、効率改善に有効な方法をご紹介します。
今からできる対策【04】
追加工、クリーン洗浄など、 部品調達後の手配を省略する
通常、部品を組み込む際に必要な軸穴の追加工や、使用環境に応じて行うクリーン洗浄を行う際には、部品の到着後に加工業者に追加工を依頼したり、社内で別途クリーン洗浄を行ったり、といった工程が必要となります。
部品の調達から追加工・クリーン洗浄までをワンストップで行えば、部品到着後すぐに組みつけが可能となり、自社での工数を削減
できます。